コラム

 公開日: 2018-03-29  最終更新日: 2018-04-06

相続に関するご相談 祭祀財産 家督を継ぐ 負の遺産 跡取り

以前から多くのお客様より相続に関するお問い合わせを頂いておりました。最近になって相談内容が少し集約されて、同じような悩みを抱えている方が多いように感じられます。
「ご依頼者のためになるなら」と、長年の経験から知り得た知識を、実際にあったケース等を織り交ぜながらご相談頂いた方々にご説明する機会もございますが、専門的なこと、確かなことは弁護士や行政、司法書士事務所へお尋ねするようお願い致します。
私の説明に勘違いや間違いがありましたらご容赦願います。

まず、相続とは親の死亡時に自然に発生するとご理解願います(法定相続人)。
いろいろな法的手続き、役所、関係機関手続き(遺産の調査や相続の開始)を速やかに進めましょう。
「単純承認」「相続放棄」「限定承認」など相続に関する用語がいろいろありますが、親の死亡後3ヶ月を過ぎた場合は単純承認した事となり、負の遺産がある場合も含め全てを引き継ぐことになり、後に放棄出来なくなる事もありますので注意が必要です。
親が事業をしている場合は特に注意が必要です。過去にあったお話ですが子供(姉妹)2人は既に嫁いでおり亡くなった父親の会社の経営状態を把握しないまま相続。その結果二人とも親の負の財産までも相続したことになり姉妹二人とも破産処理をしたという事がありました。
また、相続手続き等進める場合は相続人全員で行う共同作業が絶対条件です。

以下、最近多いご相談、ご質問内容になります。 
➀ 親(実家の空き家)の家の解体(出来れば整地後販売検討)
➁ お墓のみとり 自らの意志で墓じまい(その後の離檀)
➂ 親亡き後の相続手順。長年放置・自然相続(単純承認)の結果
➃ 仏壇、仏具などのお焚き上げ・祭祀財産の処分
➄ 法定相続人と連絡が取れない。(兄弟など)
⑥ 先祖の遺骨の行方について。合同供養等か自然葬(海洋散骨など)

お墓

「承継」と「継承」 墓じまい 離檀

「承継」と「継承」では大変似ている様でも意味合いが違います。継ぐ物が違います。
「承継」とは簡単に言えば先祖の意志、精神、伝統文化、祭行事一切を受け継ぐ事。
「継承」とは先祖の身分、権利、義務、財産等を受け継ぐ事となります。

先祖(親)が亡くなりますと遺産、財産相続(自宅や土地、預金、現金、保険、株券)などが一般的にすぐ頭に浮かびます。
もう一方で聞き慣れない言葉ですが祭祀財産相続という用語も出て来ます。
祭祀(さいし)とは一般的にはその家庭の文化伝統行事、お墓や位牌、仏壇、仏具・神棚。神社仏閣などとの関係行事一般(先祖供養・お墓参り等)を指す言葉と理解して下さい。
これら形ある物を祭祀財産と言います。受け継いだ方を祭祀承継者と言います。
親の遺品、相続財産を複数の方で共有相続することも可能ですが祭祀財産を継ぐ、祭祀承継者だけは一人の方と決められております。この点はご注意願います。
特別な親の遺言(もしくは家庭裁判所決定)でも無い限り、一般的には自宅などを相続される方、もしくはその代表者がほぼ自動的に祭祀承継者(自分も含め姉弟、親戚、集落、お寺や神社、役所等がそのように理解)と世間が見ている場合が多いからです。

直近のご相談とその内容 独身女性 弟妹の絆 墓じまい 自宅解体

地元で暮らす30代女性が相談のため来社されました。
きっかけは同僚から遺品整理の会社として当社を紹介されたそうです。
最初は遺品整理のご相談でしたが話しが進むにつれて、ずっと悩み気になっていた事があると話始めました。今現在も本当に困って悩んでいるとのこと、当初はマスクをしておりましたが、そのころにはマスクも外して真剣な表情で説明されておりました。

ご両親はご依頼者が20歳過ぎたころに離婚され、3人弟妹のうち当時小学生の弟は母と一緒に家を出たそうです。妹さんも高校を出ると他県へ就職。その間も父親は大工職人として頑張っておられたようです。ご自身も妹同様に間もなくして実家を離れたそうですが、十数年は長女、跡継ぎとしての責任も感じていたようで時々は実家に帰り父親の世話やご近所とのお付き合いもあったようですが、近年はほとんど実家にも帰っていないとの事。

母親、弟とはここ数年連絡取る事も無く音信不通とか・・・。
妹とも電話での連絡取り合い程度で、それも最近はほとんど無し・・・。
兄弟の絆、親子の絆、1時間ほどのご相談でしたが終始下向きでポツポツと答えるのがやっとの状況で、いろいろと苦労されている様子がうかがえます。
5年程前に病で亡くなった父親をおくる際も身内での葬儀も無く、誰とも連絡も取れず自身で寂しく送ったようです。実家は現在も空き家(築40年程)。近くの菩提寺に先祖代々のお墓があり父親のご遺骨もここへ納骨埋葬された様ですが民法上では自然相続(単純承認)となり、母と一緒に出て行き音信不通状態の弟と最近連絡の取れない妹にも民法900条(法定相続分)がある事になります。

聞けば土地やご自宅など現在も亡き父の名義であり、相続手続きされていないとの事で後々大変そうです。
相談者のご要望は「実家を整理解体して集落とも縁を切りたい」そのような内容でした。
全ての財産放棄をするにも親戚や、集落の同級生など今の自分を当然知っている事から特定空き家にも出来ず、かと言って解体費用にかかる費用の持ち合わせも無いとの事。
このまま放置し特定空き家になってしまうと、相談者の住まいや勤務先まで行政でもちろん解っておりますので、再々の連絡や最終的にはその掛かる経費も当然請求が来ることも容易に想像できます。菩提寺や神社経費、集落経費ももちろん同じです。
ご自宅の土地相場、田舎でもあり坪当たり10,000~12,000円だそうですが宅地も100坪ほどだそうで、この場合は法定相続人全ての方からこれら事案の承諾を頂きませんと、合法的には販売や解体処分は出来ない事と思います。しかしながら祭祀承継者としましては自らの判断で墓じまい離檀、もしくは高額な仏壇や仏具がある場合、合法的に販売や処理は可能とお伝え致しました。

実家の神社、墓所、お墓、菩提寺、仏壇や神棚などは一般の相続財産とは切り離され祭祀財産だけは共同相続は出来ない事になっております。この場合、遺言も無いとすれば慣例によりご相談者が祭祀承継者(祭祀財産相続者)となります。祭祀財産相続税は無税でもあり、どんな立派なお墓や仏壇でも現行法で一般的には相続税は掛かりません。それだけに祭祀承継をなんびとたりとも放棄は出来無い事となっております。
但しいくら祭祀承継者(長男・長女・跡取り)だからといって全てを先人のように振る舞う義務はありません。承継者だから何でもとは行かない現代特有の問題もそこにはあります。

明治憲法下での民法大改正により戦国の世以前からのある家長制度、家長権。
近年では生活スタイルの違いから一家の親方制度も現在では死語となりますが、依然として残り伝わる家督を継ぐ習慣。一家の長男(長女)は親戚・世間・集落の目・相談者はそこが一番の重荷になっているようで、ある意味大変苦労されてきた事も良く理解も出来ました。
歳を重ねる毎に跡継ぎ(祭祀承継者 長女相続人)としての慣習や義務に重圧を感じ、お金も掛かり逃げ出したい。「実家集落の細々とした決め事や行事が煩わしい」「自身の生活でいっぱいいっぱいで・・・」、などの話も出ました。
集落と縁を切りたい、先祖(親戚)とも縁を切りたい。


相続問題


合法的(一般常識的に波風たてないよう)にお寺とのお付き合いを止める手順、(墓じまい・お墓の看取り・離檀)掘り出した先祖のお骨をどうするか?(お焚き上げ・合同供養・海洋散骨)・・・等々のご説明申し上げました。
計画は宜しいのですが手順を間違いますと、さらに大変な重圧がのしかかる場合も御座いますので、この様な問題は手順、根回しが大変重要です。これだけのことをやるとなりますとご自宅の解体(弟妹相続人からの反対は無いと思いますが)や墓所の整理・離檀・母屋の大きさや立地条件にもよりますが計画全てで150万~200万円程は必要ではと、ご説明致しました。

「悩んでばかりいないですぐにでも手の付けられる処から手順を踏み進めて下さい!」
「法手続が後手となりますが頑張って下さい!」
これが精一杯の助言となりました。

繰り返しになりますが自宅に代々受け継がれてきた祭祀財産、神棚や仏壇仏具、ご位牌等、墓所、墓石も含め祭祀承継者の時の判断で処分する権利(法的には問題無し)も有ります事からそれなりのお金は当然必要としますが可能であるとお伝え致しました。(墓石整理や離檀・仏壇、神棚、遺影などの処分、お焚き上げ行為)
この様な案件、本来は親族間(弟妹)でよくお話をされ結論に至ることが望ましい事も、もちろんお伝え致しましたが現在は連絡取れない状況である。集落にも相談できる人が居ない。
亡きお父さんの親戚や地元ご近所の方との普段からの付き合いなどこの様な問題が発生前から祭祀承継者(跡継ぎ)としての普段からのお付き合いが大事とつくづく感じた事案となりました。

一人で考え思い悩んでいた事柄を今回何一つ解決はしませんでしたが一気に話した事で、少しは気が晴れたのでしょう
「有り難う御座いました、また来ます」
と、笑顔も見せてお帰りになりました。
ただ、「自分は今まで一人で生きて来ました」と大変気になる言葉もお話しに出ましたが、果たして人ってそうなんだろうか?言葉の真意、言葉のとらえ方にもよりますがこの方の生き様、私の感じ方にもよりますが「生涯孤独でした・・・」とても可哀想な方と感じました。
お話を聞きながら率直な私の感想ですが、相談者は親の愛情や弟妹の絆など口にこそ出しませんでしたが、誰にでも宿るその感情や想いが不足していたのではないでしょうか?そう考えますと気丈にも「今まで一人で生きて来ました」その言葉にも、うなずけるような気も致します。
親はもちろんですが弟妹、親戚を頼りながらご近所、集落や友人に相談や助言を頂きなら生活をして来たとしたらこの様に一人で抱え込み悩むことも無かったのでは・・・。
私もいろいろと考えさせられました。

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